デジタル技術で林業の未来を切り拓く〜院庄林業株式会社の業務改革事例〜
「院庄林業株式会社」2024年おかやまIT経営力大賞受賞

■企業紹介 - 院庄林業株式会社


 会社概要  
  • 創  業:1955年
  • 所在地:岡山県津山市二宮22-1
  • 事業内容
    昭和30年に創業した院庄林業は、岡山県津山市、東京、静岡に拠点を持ち、林業を営む会社です。国産材の製材および販売、集成材やプレカット材の製造および販売、住宅資材販売および住宅建築やリフォーム、山林育成・立木購入・伐採など木材に関するあらゆることを包括的に手掛けています。

1. 事例概要

 

岡山県津山市に拠点を置く院庄林業株式会社は、森林伐採から製材、プレカット、住宅建築までを一貫して行う企業です。
近年、業務の効率化とデータの正確性向上を目的として、ITツールを積極的に活用し、業務改革を推進されています。

本事例では、同社が抱えていた課題と、その解決のために導入したIT技術、そして実際の導入効果について詳しくご紹介いたします。


2. IT導入の背景と課題

院庄林業では、業務の多くが紙ベースで運用されており、データ管理や情報共有に時間がかかるという課題を抱えていました。具体的には、以下のような点が問題となっていました。

  • 棚卸業務の非効率化
    在庫の確認作業が紙の野帳で行われており、データ化に4時間以上かかっていました。
  • 勤怠管理の手間
    従業員の勤怠情報が紙で管理され、月末にまとめて提出する方式だったため、確認作業が煩雑になっていました。
  • 原木選木データの手作業処理
    原木のサイズ計測や選別作業を手作業で行っており、計算やデータ入力に半日以上の時間がかかっていました。
  • 工場長が不在時の情報共有の課題
    出張時や外出時にリアルタイムで工場の稼働状況を把握できず、意思決定のスピードが低下していました。

これらの課題を解決するため、同社はシステムベンダーと協力し、複数のITツールを導入することで、業務のデジタル化を進められました。


3. 導入したITソリューションとその効果

同社では、クラウドシステム、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、データ管理ツールなどのIT技術を活用し、業務の自動化と効率化を進めました。

棚卸業務のデジタル化(AppSheetの導入)

導入内容:

  • AppSheetを活用し、棚卸業務用のデジタル野帳アプリを開発。
  • これまで紙で行っていたデータ管理をスマートフォンやタブレットから入力できるようにしました。

導入効果:
作業時間を34時間短縮
データの正確性が向上し、人的ミスを削減
ペーパーレス化により、管理負担の軽減


勤怠管理の効率化(kintoneの導入)

導入内容:

  • クラウド型業務アプリ「kintone」を導入し、従業員が日々の勤怠情報をリアルタイムで入力できるシステムを構築。

導入効果:
月末の勤怠集計作業を削減し、担当者の負担を軽減
勤怠データのリアルタイム把握が可能に
勤怠データの精度向上


原木選木データの自動処理(RPAの活用)

導入内容:

  • RPAUipath)を活用し、原木のサイズ計測データの再計算と入力作業を自動化。
  • これまで手作業で行っていたデータの処理を一括で自動化しました。

導入効果:
半日かかっていた業務が1時間未満で完了
計算ミスが減少し、データ精度が向上
作業員の負担を軽減し、他の業務へのシフトが可能に


工場長不在時のデータ共有(Looker Studioの導入)

導入内容:

  • BI(ビジネスインテリジェンス)ツール「Looker Studio」を活用し、クラウド上でリアルタイムのデータ共有を可能にしました。

導入効果:
出張中でもリアルタイムで工場の状況を確認可能
意思決定のスピードが向上
データの透明性が高まり、社内の情報共有がスムーズに


4. IT導入による総合的な成果

同社がIT技術を導入されたことで、以下のような成果が得られました。

業務時間の30%削減(省力化した時間を新規事業や業務改善に活用)
業務遅延の解消(リアルタイムのデータ共有が可能に)
従業員の業務負担軽減(手作業の負担を軽減し、業務の快適性向上)
データ管理の精度向上(ペーパーレス化によりミスを削減)

特に、工場の生産状況や利益データなどをリアルタイムで確認できるようになったことで、経営判断のスピードが向上し、企業全体の競争力強化につながっています。


5. 今後の展望

院庄林業株式会社では、さらなる業務改革とスマート林業の実現に向け、次のような取り組みを検討されています。

AIを活用したデータ分析の強化
IoTやドローン技術を取り入れたスマート林業の推進
IT人材の育成とデジタルスキル向上の支援

これらの施策を進めることで、林業の持続可能性を高め、さらなる業務効率化を実現していく予定です。


6. まとめ

本事例では、院庄林業株式会社がIT技術を活用して業務改革を推進された取り組みをご紹介しました。

林業のような伝統産業においても、デジタル技術を活用することで、業務効率化生産性向上を実現しています。

システムエンジニアリング岡山では、このようなデジタル技術を活用した業務改善に関心のある企業様への情報提供やサポートを行っています。

デジタル化の第一歩を踏み出したい企業様は、ぜひご相談ください。
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